2010 Fiscal Year Annual Research Report
統一残差平均理論に基づく南極周回流および赤道流のエネルギーと鉛直構造の解析の研究
Project/Area Number |
21740351
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
相木 秀則 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (60358752)
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Keywords | 海洋物理 / 気候変動 / 気象学 / 数値シミュレーション / 地球流体 |
Research Abstract |
南極周回流、黒潮、メキシコ湾流を含む全球のエネルギー収支を解析した論文をOcean Dynamics誌にて発表した.特に南極周回流がドレーク海峡やニュージーランド沖の海嶺や大陸棚にぶつかって生じる海底圧力応力、メソスケール渦によるレイノルズ応力、そして海底に沿う流れが感じる摩擦応力の三者の効果を比較したところ、従来の定説と比較して摩擦の効果が一桁大きいことが分かった.この研究と平行して、インドネシア多島海の内部波動と平均流の関係を解析した論文をJGR-Oceans誌に発表した.外部潮汐によって注入されたエネルギーの7割程度が内部重力波によって海峡の両脇に放射され,インドネシア通過流の流量が多い夏期にはインド洋側、流量が少ない冬季にはジャバ海側により多くのエネルギーが伝わることがわかった.このエネルギー解析は非静力数値実験を行いモデル方程式の全ての項を初めて高精度に診断する事によって成し遂げられた.Ocean Dynamics誌とJGR-Oceans誌の2つの論文を合わせもって、潮汐流が海峡の地形ぶつかって内部重力波に変換される過程を記述するエネルギー方程式と、(上記の)南極周回流が海嶺にぶつかって圧力応力を受ける過程を記述するエネルギー方程式が、(現象としては全く異なるが)統一した数式を用いて説明できることを示した.以上の研究とは別に、統一残差理論の新たな適用課題として、海面波と海洋混合層の鉛直混合の定式化/パラメタリゼーション開発が極めて有望であることに気付き、その理論基盤の構築を進めた.
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