2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の気候変動復元に向けたサンゴ骨格クロスデーティング法の開発
Project/Area Number |
21740362
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森本 真紀 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (30377999)
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Keywords | サンゴ骨格 / 年輪 / 年代測定 / 酸素同位体比 |
Research Abstract |
本研究は、サンゴ骨格用いたクロスデーティング法の開発をおこなうため、生息年代の異なるサンゴ年輪化石を採集し、年輪の編年(年輪形態観察と酸素同位体比分析)と高感度炭素14年代をもとに、複数のサンゴ試料の記録を繋ぎ合わせてより長い期間の編年を作成し、過去の海洋環境の復元を目指すものである。 昨年度採取した沖縄県石垣島の化石サンゴ骨格のコア試料から年代の近い群体を選び、コアの最上部と最下部など骨格年輪が計数できる部分について、より詳細な炭素14年代測定をおこなった。Libby age ^<14>C/^<12>Cについて、「TONO1」群体の最下部で1490±50年、「TONOO」群体の最上部が1445±35年、最下部が1535±35年、「SEK5032」群体の中央部で1235±40年の年代が得られた。また、軟X線写真の年輪計数からそれぞれの群体が、少なくとも297年、137年、215年の年輪を持っていることが明らかになった。得られた年代と年輪数より、「TONO1」の下部と「TONOO」の上部が含む年代、またこの2群体と「SEK5032」の生息年代の一部が重なっている可能性が明らかになり、群体間の年代を繋ぎ合わせの可能性が示された。現在、現生サンゴ試料の年輪解析を進めており、炭素14年代との比較から求める海洋リザーバー年代を用いて、化石サンゴ試料の炭素14年代の暦年代への較正をおこなう。それぞれの骨格試料について、現在、約1ヶ月単位での酸素同位体分析も進めており、次年度は年代測定結果と酸素同位体比の季節変化曲線を合わせることによって、試料同士の記録の繋ぎ合わせの可否について解析・検討をおこなう。この成果は、サンゴ骨格年輪を用いる気候変動復元の応用範囲を拡大させ、海洋環境変動の研究に新たに有効な情報を与えるものである。
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