2010 Fiscal Year Annual Research Report
氷期-間氷期変動に対する造礁サンゴ群集の時空分布変化
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21740371
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 圭一 金沢学院大学, 美術文化学部, 准教授 (50340021)
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Keywords | 造礁サンゴ / 化石サンゴ礁 / 琉球列島 / 氷期 / 炭酸塩堆積物 / 気候変動 / 生物地理 |
Research Abstract |
現在,琉球列島には約400種の造礁サンゴが分布し,その数は北に向かって減少する.サンゴ群集も八重山~奄美諸島の「熱帯サンゴ礁タイプ」と種子島~紀伊半島の「温帯非サンゴ礁タイプ」,さらに北の「高緯度タイプ」と緯度ごとに異なる.しかし,この様な地理的分布がいつどの様にして成立したのか,そのプロセスは十分に解明されていない.そこで本研究は,サンゴ礁分布域の北限域近くに位置する喜界島を主な調査地として『氷期-間氷期の気候変動に対応して造礁サンゴ群集の分布に変化があったのか否か?』を明らかにすることを目指す.本来なら海面下に沈んでいるはずの化石サンゴ礁が活発な隆起運動によって地表に露出している喜界島において,氷期(4~7万年前および13~15万年前)の化石サンゴ群集の調査を行った. 平成22年度は,前年度に引き続き,露頭観察・スケッチとボーリング掘削(3地点で合計18.59mのコア試料を回収)によって石灰岩層序と化石サンゴ種について検討を行い,以下のような成果が得られた.・「温帯タイプ」のサンゴ群集が分布:現在の喜界島周辺には「熱帯タイプ」のサンゴが分布するが,5~6万年前の化石サンゴ礁には温帯の要素が混じる.特に5.4万年前の化石サンゴ礁は,温帯域に特徴的なサンゴ群集から構成されることが明らかになった.すなわち「氷期-間氷期の気候変動に対応して造礁サンゴ群集の分布に変化があった」といえる. ・約14万年前の氷期サンゴ礁:これまで限られた数の年代値のみから指摘されていた約14万年前の氷期サンゴ礁の存在が,島最高位段丘を中心に,面的広がりをもって分布することが,岩相層序からも明確になった。これは,一つ前の氷期最盛期にも,北緯28度付近ではサンゴ礁が形成されていたことを意味する.
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