2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理電子状態計算法を用いた含水カンラン石高圧相の構造と振動特性に関する研究
Project/Area Number |
21740380
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 旬 Ehime University, 上級研究員センター, 上級研究員 (00527608)
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Keywords | カンラン石高圧相 / 第一原理計算 / 含水相 / 振動特性 / 高圧 |
Research Abstract |
カンラン石高圧相であるwadsleyiteとringwooditeは地球深部約410km-660kmのマントル遷移層における主要構成鉱物である。近年これらの相は、不純物として結晶構造中に非常に多量の水を包有できるため、地球内部における最も重要な含水相とされている。 本研究は、第一原理電子状態計算法を用いてwadsleyiteとringwoodite中の水素の安定構造を探り、さらに第一原理格子動力学計算から得られた振動特性と、実際に測定されたラマン・赤外分光実験の結果を比較することにより、これらの含水相中の水素の存在状態を明らかにすることを目的としている。 今年度はwadsleyite中の複数の水素欠陥構造とそれに対応する水酸基の伸縮振動、さらにその振動特性の圧力依存性について研究を行った。特に、最も安定な水素欠陥構造に対応するOH伸縮振動は約3300cm-1,また次に安定な水素欠陥が与えるOH伸縮振動が約3500cm-1付近に得られ、それらはhydrous wadsleyiteで実験により報告されているOH伸縮振動と非常によく対応することが判明した。実験ではその他微小なピークがそれ以外の振動数領域でも測定されているが、多くの場合、今回計算で得られた二つのタイプの水素欠陥構造に起因することが強く示唆される。今回得られたhydrous wadsleyiteのモデル構造は、今後この鉱物のプロトン伝導やレオロジーに関する研究にも応用が可能である。
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Research Products
(9 results)