2009 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下における部分溶融したかんらん岩の弾性波速度測定技術の開発
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21740381
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
河野 義生 Ehime University, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE助教 (20452683)
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Keywords | 弾性波速度 / 高温 / 溶融 / かんらん岩 / 上部マントル |
Research Abstract |
本年度は,「高圧下における部分溶融したかんらん岩の弾性波速度測定技術の開発」のために,(1)過去の研究(最大1400℃)以上の高温条件下における弾性波速度測定技術の開発,(2)溶融した岩石を封入した状態での弾性波速度測定のテストを行った.(1)については,実験セルアセンブリーのヒーターや断熱方法に改良を加えることにより,1700℃までの高温条件下において実験データを得ることに成功した.この温度はマントルを構成するかんらん岩や玄武岩などの岩石が溶融開始する温度よりも高い温度であり,この技術によりかんらん岩が部分融点する高温条件下での弾性波速度測定を可能にした.そこで次に,SPring-8において,かんらん石+MORB(4wt.%もしくは10wt.%)試料を用い部分溶融したかんらん岩の弾性波速度測定実験を行った。4wt.%のMORBを含むかんらん岩試料の実験の結果,MORB部分が完全に融解する1400℃以上の高温条件下においてもP波信号を得ることに成功した.一方,S波については,1300℃以下の部分溶融度の小さい状態ではS波信号は観察されたが,MORB部分が完全に溶融する1400℃以上ではS波信号を得ることは出来なかった.4wt.%,10wt.%のMORBを含む試料ともに,ある一定のポアソン比値を境にS波信号が消失しており,ある溶融度以上の溶融状態下においては現状では測定ができていないことが推測される.以上をまとめると,本年度の研究により,高温高圧下で部分溶融したかんらん岩の弾性波速度測定は溶融度の低い状態では可能になったが,溶融度が大きくなると信号強度が急激に低下する傾向がある.平成22年度にさらなる技術開発を行うことにより,部分溶融したかんらん岩の弾性波速度測定技術を確立したいと考えている.
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Research Products
(1 results)