2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740383
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
平尾 直久 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (70374915)
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Keywords | 金属水素化物 / 地球核 / 地球・惑星内部構造 / 高温高圧 / 放射光 / X線回折 |
Research Abstract |
本年度は,ダイヤモンドアンビルセル技術において未だ確立していない固体水素媒体を用いた高圧発生技術およびレーザー加熱法による高温高圧発生技術の開発により,鉄-水素系に関して,発生可能な圧力温度領域を拡張し,100万気圧まで密度・相関係を調べた.高温高圧領域で出現する鉄-水素系の高圧相や密度を明らかにすることは,地球中心核中に含まれる水素存在量を解明するために不可欠である.しかしながら,ダイヤモンドアンビルセルによる固体水素を用いた実験技術的な困難さから,鉄-水素系の高温高圧実験は皆無であった.本年度は,まず昨年度導入したダイヤモンドアンビルセル装置およびシングルベベルド型形状のダイヤモンドアンビルを用い,鉄-水素系の圧力発生実験を実施し,室温で95万気圧までの圧力発生を可能にした.その結果,高圧相のdhcp鉄水素化物が95万気圧まで安定に存在することが明らかになった.過去の理論計算で予想されている80万気圧付近のdhcp-fcc構造相転移は観察されなかった.次に,レーザー加熱法を用いたその場高温高圧X線回折実験を実施し,40万気圧,2000Kまで鉄-水素系の相関係を調べた.その結果,40万気圧,1500-2000Kではdhcp相が安定に存在し,33万気圧,1500-2000Kではdhcpとは異なる相の存在を示す結果が取得された.このことから,40万気圧ではdhcp-fcc境界が2000Kよりも高温領域に存在する,または40万気圧よりも低圧側に存在することが明らかになった.本研究より,地球中心核ではdhcp構造を持つ鉄水素化物が安定に存在する可能性があることがわかった.
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Research Products
(4 results)