2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740384
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
肥後 祐司 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門, 研究員 (10423435)
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Keywords | 弾性波速度 / 下部マントル / 超音波法 |
Research Abstract |
本研究は下部マントルに相当する温度・圧力(>1500℃・>23GPa)条件下で弾性波速度測定を行うための技術開発を主な目的としている。この目的を達成するため本年度は以下の2点について重点的に研究を行った。第1に下部マントルに相当する温度圧力条件下においても、超音波測定に必要な1mm3クラスの試料を塑性変形なしに加圧及び加熱できる高圧セルの開発をおこなった。研究の結果、第二段アンビルに高硬度の超硬合金(富士ダイス(株)TF05)を使用することによって、大きな試料容積を確保し、かつ効率的な高圧発生が可能となり、28GPaを超える圧力発生に成功した。また、ヒーター材にはX線の透過性に優れたTiB_2を採用し、圧力媒体には断熱性の高い(Cr,Mg)Oを使用して高圧下においても1500℃以上の高温発生が可能となった。第2に前者で開発した高圧セルに封入した微小試料から反射される、非常に弱い超音波エコーを検出可能な超音波測定システムの開発を行った。従来の超音波定システムでは試料に照射する超音波の出力が絶対的に不足していたため、ポストアンプ及び入出力信号切替装置を導入し、これまでの約6倍の信号強度をもつ超音波の発生が可能になった。本実験セル及び測定システムを組み合わせて実験をおこなった結果、非常に微弱な信号ながら、試料から発せられるP波・S波の超音波エコーを確認することに成功した。本年度は当初の予定どおり研究が進展しており、来年度に計画されている、更なる超音波信号の増強や実際のマントル構成鉱物の弾性波測定を行うための準備が整ったといえる。
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Research Products
(4 results)