2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740384
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
肥後 祐司 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (10423435)
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Keywords | 弾性波速度 / 下部マントル / 超音波法 |
Research Abstract |
本研究は下部マントルに相当する温度・圧力(>1500℃・>23GPa)条件下で弾性波速度測定を行うための技術開発を主な目的としている。この目的を達成するため本年度は以下の点について重点的に研究を行った。 昨年度開発した超音波実験用の高圧セルを用いて、超音波データが正しく取得できるかどうかテストをおこなった。標準試料には数種類の高純度アルミナ(Al_2O_3)の焼結体を用いた。アルミナは広い安定領域を持ち、本実験条件内では相転移を起こさず、化学的にも安定である。特にGE社製のLucaloxアルミナは超音波速度測定の際の標準試料として、過去の研究でも多く用いられており、本研究で開発した高圧セルの温度圧力発生状況や超音波測定システムの検証に有用である。上記の試料を用いて実験を行った結果、約28GPa,1600℃の高温高圧条件下で超音波エコーの取得に成功した。上記温度圧力条件は下部マントル最上部の圧力温度に相当し、本研究の第一段階は達せられたものと考えられる。測定された弾性波速度の詳しい評価は現在おこなっているところであるが、低圧・低温条件下で得られた過去のLucaloxアルミナの弾性波速度測定結果と整合的な数値が得られている。今後さらに測定誤差の評価を詳しく行い、本システムにおける超音波実験結果の妥当性を検証したい。 本年度は当初の予定どおり研究が進展しており、来年度に計画されている、更なる超音波信号システムのS/Nの改善や実際のマントル構成鉱物の弾性波測定を行うための準備が整ったといえる。
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Research Products
(3 results)