2009 Fiscal Year Annual Research Report
最終氷期最盛期の化石サンゴを用いた熱帯海域の海水温・塩分の季節変動復元
Project/Area Number |
21740387
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 麻夕里 The University of Tokyo, 海洋研究所, 助教 (20451891)
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Keywords | 最終氷期最盛期 / 化石サンゴ / 気候変動 / 熱帯域 / 微量元素 |
Research Abstract |
現在、そしてこれからの気候変動を予測する上で重要な、放射強制力に対する気候システムの応答を解明する鍵となる時代の一つである最終氷期最盛期(LGM)における熱帯海域の海水温、塩分の季節変動を解明することは重要であり、本研究では化石サンゴを用いてLGMの季節変動を明らかにすることを目的としている。試料は南太平洋のバヌアツから採取された化石サンゴであり、ウラン系列年代測定法により約22,000年前の年代を有することが分かっている。一般的に化石サンゴを対象とした研究では、サンゴ骨格の結晶形であるあられ石構造が変質されずに残っていることが必要条件となるが、今年度は試料の状態を確認するために、X線写真撮影、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、X線回折分析(XRD)を行った。その結果、X線写真から試料の下部は恐らく変質していると思われる骨格密度の異常が認められたが、上部は変質していない連続した年輪が約7年間認められた。この7年間についてSEM, XRDでより詳細に試料の状態を確認したところ、99%以上あられ石結晶が保存されていることが分かった。また、年代測定の時に算出したδ^<234>Uの値は142.2‰であり、現代の海水中のδ^<234>U(146‰)と誤差の範囲で同じであるため、このことからも試料の保存がいいことが分かる。試料の状態を確認した後、骨格の成長線に沿って1mm間隔でマイクロサンプリングを行った。本試料の成長速度から、1mm間隔でのサンプリングは約1ヶ月単位の時間分解能に相当し十分季節変動を復元できることが分かった。
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Research Products
(5 results)