2009 Fiscal Year Annual Research Report
断層運動時の間隙水圧上昇に伴う元素の移動機構の理解
Project/Area Number |
21740392
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
谷水 雅治 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 高知コア研究所, サブリーダー (20373459)
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Keywords | 断層破砕帯 / 化学状態分析 / 放射光 |
Research Abstract |
1999年に台湾にてマグニチュード7.6の地震(集集地震)をひき起こした、台湾中部のチェルンプ断層の掘削コア試料について、ヒ素に注目してその濃度と化学形態を分析した。化学形態分析には高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の放射光X線(BL-12C)を利用し、ヒ素のK殻吸収端近傍の微細構造(XANES)を測定し、解析した。台湾地震断層掘削プロジェクト(Taiwan Chelungpu-fault Drilling Project : TCDP)では、地下1136m,1194m,1236mから3つの断層帯が採取されているが、各断層破砕帯の周辺部では主に硫黄を置換して存在するヒ素が、破砕帯中央部ではほとんど消失していることがわかった。同時にヒ素の濃度について、対象試料をふっ酸で分解し溶液化したのち、蒸発乾固し薄い硝酸で希釈し、海洋研究開発機構高知コア研究所が運用・管理する四重極誘導結合プラズマ質量分析装置(Quadrupole ICP-MS ; Perkin Elmer社ELAN-DRCII)で定量し、断層破砕帯中心部ではヒ素濃度が減少していることを確かめた。以上のことから、断層を浸透していく流体と岩石との化学反応により、硫化物相に含まれるヒ素が選択的に流体側に溶出した結果と考えられた。ヒ素は高温の流体と反応して流体相に動きやすい元素であり、断層摩擦運動と同期した、流体の関与した化学反応である可能性が高い。
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Research Products
(3 results)