2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ処理による化学修飾を用いた生体高分子の固定化とバイオセンサへの応用
Project/Area Number |
21740395
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荻野 明久 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 助教 (90377721)
|
Keywords | プラズマ / 表面・界面物性 / ナノバイオ / 生態材料 / 多糖類 / 化学修飾 / アミノ基 |
Research Abstract |
バイオセンサ開発を目的として、プラズマ処理した基板上に多糖類であるヘパリンを固定し、ヘパリン固定化による抗凝血性などの生体適合性を評価した。まず、プラズマ処理条件(プラズマ密度、プラズマ電位および浮遊電位)とアミノ基修飾率の関係、ならびにアミノ基修飾率とヘパリン固定化率の関係を調べた。その結果、基板表面へ入射するイオンエネルギーは約5eV、またプラズマ密度がマイクロ波(2.45GHz)のカットオフ密度(7.5×10^<10>cm^<-3>)の1/5程度となる時、最も高いアミノ基修飾率と選択率が得られることが分かった。ヘパリンの固定化率は、アミノ基修飾率に比例して増加しており、アミノ基が重要な役割を担っていることが示唆された。なお、ヘパリンを固定化した基板の抗凝血性については、内因性凝固系全般を評価する血漿カルシウム再加凝固時間を比較した。試行した実験条件において、プラズマ処理を行わない基板では約400秒で凝固したが、プラズマ処理を行った後にヘパリンを固定化した基板では一日以上経過しても凝固を確認できず、非常に強い抗凝血活性を保持したままヘパリンが固定されていることが分かった。 また、アルゴンプラズマに水蒸気またはアンモニアガスを混合し生成したプラズマをカーボンナノチューブへ照射し、ナノチューブ表面に官能基の修飾を行った。処理したナノチューブは、ラマン分光法およびTEM解析により表面の結合欠陥や構造を評価すると共に、XPS解析により官能基の修飾率ならびに表面組成の変化を評価した。得られた結果によると、多層ナノチューブを構成する層数に大きな変化はなく最表面を中心に結合欠陥が形成され、水蒸気添加プラズマではヒドロキシ基、アンモニアプアズマではアミノ基を主とする官能基が修飾されることが分かった。また、プラズマ処理後のナノチューブでは、液中分散性が大幅に向上する結果が得られた。
|