2009 Fiscal Year Annual Research Report
高強度レーザー生成プラズマにおける高エネルギー負イオンのダイナミクス
Project/Area Number |
21740404
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中村 龍史 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (40318796)
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Keywords | 相対論プラズマ / レーザープラズマ相互作用 / イオン加速 / 高強度レーザー / 負イオン / 粒子シミュレーション |
Research Abstract |
高強度レーザーを物質に照射することで高エネルギー密度プラズマが生成され、それを利用した高エネルギー量子線発生の研究が精力的に進められている。近年、負イオンの運動を考慮することの重要性を示唆するレーザー加速実験が報告されたが、これまでのレーザー・プラズマ相互作用の研究では負イオンの運動に着目した研究はこれまで殆ど行われていない。そこで本研究では、近年報告された、高エネルギー負イオン発生の実験結果を解明する理論モデルの提案を行った。 先行実験において、クラスターターゲットに高強度レーザーを照射することで、正イオンと同時にMeV程度の負イオンが観測された。このエネルギーは正イオンのエネルギーより一桁程度低い。この実験を、本研究で提案したクーロン爆発モデルで説明することができた。 レーザーをクラスターに照射した場合、クラスター内の電子がレーザーによりはぎ取られ、残ったイオンはイオン間の静電界により等方的に加速されることが分かっている。これはクーロン爆発モデルとして、理論的に説明されており、そのエネルギーは実験及びシミュレーションと良い一致を示している。このクラスター内部に若干の負イオンが存在する場合、負イオンは正イオンのクーロン爆発により誘起される電磁場内で運動する。クーロン爆発モデルで与えられる自己相似解を、負イオンも存在する系の電子及び正イオンの運動に対する第一近似として用い、負イオン運動の解析解を導出した。これにより、負イオンのエネルギースペクトル及び、正・負イオンのエネルギー比を理論的に説明することができた。ガス密度プラズマにおいても負イオンが加速されることを示し、これは1次元クーロン爆縮モデルで説明された。また、磁気渦により正イオンと負イオンの加速方向の依存性が大きく異なることが、シミュレーションにより明らかになった。
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