2009 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解・高周波電子スピン共鳴分光法による生体内光電変換ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
21750004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 秀人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90414002)
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Keywords | 光合成膜タンパク / 光化学系I / 電子伝達経路 / 高周波パルス時間分ESR |
Research Abstract |
光合成膜タンパク質において,光化学系IおよびII反応中心複合体は酸素発生において重要な役割を担っている.光化学系Iでは、光励起されたクロロフィルダイマーP_<700>からクロロフィルモノマーA_0へ、さらにフィロキノンA_1へと電子移動が進行する.従来、疑似2回回転対称軸で関連付けられる2つの電子伝達系のうち、一方しか電子が流れないと考えられてきた.しかし最近、両経路での電子伝達の可能性について多くの議論がなされており、その電子伝達経路について明らかにするため、本研究では超高時間分解高周波ESR法を用いた実験を行った。ESR装置の高時間分解能化を図るため、既存の狭帯域プリアンプを高帯域プリアンプへと変更した。その結果、10nsを切る高時間分解能化を実現した。Nativeの光化学Iに対して、100K付近で観測される反応中間体ラジカルイオン対P_<700>^+-A_1^-の超高時間分解高周波時間分ESRスペクトルとその時間依存性を観測した。1種類のラジカルイオン対では完全に説明することができず、二方向の電子移動が指摘された。また、レーザー照射直後のESR信号の超高速量子ビートを、高周波領域で初めて観測することに成功した。さらに、光化学Iに対して化学還元処理を行うことで、二成分のESRスペクトルと時間依存性を観測することに成功し、スペクトルの形状および時間変化から二種類のイオン対が存在することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)