2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 優一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00533465)
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Keywords | 原子・分子物理 / 化学物理 / パルス電子線 / 電子線散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、エネルギー広がりの少ない、フェムト秒レーザーを励起源とするフォトカソード型超短パルス電子銃の開発である。具体的には10V以下のエネルギー幅で、かつサブナノ秒オーダーの時間幅を有するパルス電子線源を実現する方法を提案する。フォトカソード型超短パルス電子銃に関しては先駆的開発例があり、それを本研究での開発ベースとするが、パルス幅のみでなくエネルギー広がりも同時に抑制した電子銃の開発に焦点を置き、超短パルス電子銃の適用範囲を電子線非弾性散乱実験へと飛躍的に拡張することを目指す。 本年度は、昨年度にパルス電子線の発生を確認したフォトカソード型パルス電子銃(一号機)を、研究代表者が所属する研究室で開発中の時間分解電子運動量分光(TREMS)装置へ実装し、パルス電子銃の性能評価およびEMSへの適用を試みた。東日本大震災からの復旧作業後、TREMS装置の整備を経て、製作したパルス電子銃を取り付け、Arによる弾性散乱実験によりパルス電子線のエネルギー幅を間接的に評価した。その結果、電子線強度を抑えれば約1.2keVの入射エネルギーに対して10eV以下のエネルギー幅を達成できるものの、そのような強度では断面積の小さな電子線非弾性散乱実験であるEMSへ本電子銃を適用するのは難しいことが分かった。そこで、シミュレーションを併用しながら電子線強度の最適化を行い、パルス電子の飛行距離を極限的に短くした改良型(二号機)を設計・製作するに至った。そうして出来た二号機は、エネルギー幅を10eV以下に抑えつつも、一号機と比べ30倍以上の強度向上を達成し、結果、EMSの信号・検出に成功した。一方、パルス電子の時間幅に関しては、その計測は今後の研究課題ではあるものの、シミュレーションからは5 ps未満であると推定しており、所期の性能をほぼ達成した電子銃の製作および最適化に成功した.
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Research Products
(17 results)