2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭化水素ガスハイドレートにおける内包ガス分子観測への挑戦
Project/Area Number |
21750006
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
星川 晃範 Ibaraki University, フロンティア応用原子科学研究センター, 助教 (60391257)
|
Keywords | ガスハイドレート / 粉末中性子回折 / リートベルト解析 |
Research Abstract |
本年度はメタンハイドレートとメタン二酸化炭素混合ガスハイドレートに関して試料合成を行い、分解後のガス放出量により、試料の合成状況を検討した。その後、冷凍機の整備を行い、10K程度の低温まで下げられることに成功した。この冷凍機を用いて、メタンハイドレート及びメタンと二酸化炭素混合ガスハイドレートの2試料に対して、中性子線を用いた測定を行った。結果としてメタンハイドレートと混合ガスハイドレートの粉末中性子回折パターンを比較すると、ピークの強度比が明らかに違うことが分かった。このことは結晶内部の構造に違いがあることを意味しており、メタンハイドレートと混合ガスハイドレートの構造の違いをとらえることに成功した。 この回折パターンをさらにリートベルト法を用いた構造解析を行ったところ、メタンハイドレートに関しては、以前、我々が単色中性子線を用いた角度分散型粉末中性子回折装置で得られた構造モデルとよく一致していることが分かり、ホワイトビームを使用している飛行時間型粉末中性子回折装置でもほぼ同じ結果が得られることが確認できた。メタンと二酸化炭素混合ガスハイドレートに関しては、混合ガスハイドレートとドライアイスと氷とバナジウムセルの4相に分かれていることがこれまでに判明している。現状の結果としては、混合ガスハイドレートではある特定のカゴにはガス分子があまり内包されていない可能性があることが新たに分かった。さらに詳細な構造解析を進め検討を進めている状況である。この結果はガスハイドレート中に内包されたガス分子が受ける相互作用を知る上で、重要な結果となる可能性がある。
|
Research Products
(1 results)