2009 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体基板の金属・半導体による電気化学コーティング
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21750011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 周次 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (40333447)
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Keywords | 薄膜形成 / 電気化学 / 結晶成長 / 界面エネルギー |
Research Abstract |
今年度は、ガラス基板のAgによるコーティングを重点課題の1つと添えた。過去報において、Ag電析反応系では、Ag_2SO_4+H_2SO_4浴(以後、A浴と呼ぶ)からの電析反応中には電析停止中に比べて界面自由エネルギーはほとんど変化しないのに対し、AgNO_3+NH_4NO_3浴(以後、B浴と呼ぶ)からの電析反応中にはそれは大きな変化を示すことが知られていた。そこで、これらの2種の電析浴を用いてガラス基板上にAgがコーティングされるかどうかを調べた。実験では、細長いガラス基板の両端を電極基板として使用するためにAuでコーティングした。これを電析浴に浸し、電極電位を制御してAgの電析反応を進行させた。その結果、B浴においてのみ、Ag結晶がガラス基板に沿う形で成長し、結果的にガラスがAgによりコーティングされることを見出した。A浴を用いた場合には、Au基板上にAgが堆積成長するのみで、ガラスコーティングは行われなかった。この違いが生じる原因として、両浴におけるAg結晶成長モードの違いが考えられたため、電析電流の経時変化を解析し両浴における成長モードを検討した。その結果、A浴ではAgが2次元成長するのに対し、B浴では3次元成長することが確認された。3次元成長した場合には、2次元成長時に比べ電析反応時における表面拡散Agアドアトム密度が大きいことが推測される。この高エネルギーなアドアトム密度に応じて結晶成長時の表面自由エネルギーが大きく異なり、ガラス基板コーティングの成否が分けられることになったと思われる。
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