2010 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体基板の金属・半導体による電気化学コーティング
Project/Area Number |
21750011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 周次 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (40333447)
|
Keywords | 薄膜形成 / 電気化学 / 結晶成長 / 界面エネルギー / 赤外分光 |
Research Abstract |
昨年度までの研究を通して、絶縁ガラス基板を電析法による金属コーティングの可否が電析浴組成に強く依存することが明らかとなった。そこで、本年度は、そのコーティング過程の分子機構の解明を目指して研究を展開した。一つのアプローチとしてAFMを用い、Auのカンチレバーを炭素鎖長の長いアルキル有機分子で修飾したものと非修飾のものとでAFM像の比較を試みた。これまでに絶縁ガラスコーティングが進む際には電析物表面が疎水性になっていることが分かっていたため、上記の2種のカンチレバーを用いればAFM像に差が得られ、定量的議論が可能になることを期待した。電析物をin-situで観測する際に有機修飾膜が破壊することが危惧されたので、測定前後でサンプル電圧Vを変化させて振幅シフトΔAを測定し、その特性の有無から有機修飾膜の安定性を評価した。これにより安定測定条件を抽出することが出来たので、今後は実際にAFM観察に取り組んでいく。また、もう一つのアプローチとして、電析中の基板表面の分子情報を赤外吸収によりin-situで得ることを試みた。この実験では、全反射IR法を用いるためにIR透過性のあるシリコンを基板として用いて実験を進めた。また電析物としてはCuを選択した。このin-situ IR測定により、系内から硫酸アニオンを完全に排除すると吸着水由来のIR吸収モードが観測されたのに対し、微量の硫酸アニオンを加えるとその吸収が消失することが明らかになった。また、これによく対応して、系内の硫酸アニオンの有無に応じて銅薄膜の基板への付着性が大きく変化することを見出した。これらの結果は現在論文投稿準備中である。
|