2011 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌の電荷分離反応に関わる機能分子のエネルギー準位相関解明
Project/Area Number |
21750012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 祐樹 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10376634)
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Keywords | 光合成 / 光化学系 / 分光電化学 / 酸化還元電位 / 光誘起電荷分離 / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
1好熱性藍色細菌の光化学系IIにおける反応中心蛋白質の違いが酸化還元電位および電子伝達特性に及ぼす影響 好熱性藍色細菌Thermosynechococcu selongatusのゲノムには系II反応中心蛋白質PsbAをコードする遺伝子が3つあり、これらの発現様式は培養条件によることが知られている。通常ではpsbA1が、光ストレスを受けるとpsbA3が発現し、後者のほうが酸素発生活性が1.8倍ほど高いことが報告されている(杉浦ら、2010)。この活性の違いは、PsbAを構成する344アミノ酸残基のうちの21個の違いによるとされるが、それが各種機能分子にどのように影響するかは明らかにされていなかった。そこで、分光電気化学計測を一次電子受容体フェオフィチン(Ph)と二次電子受容体プラストキノンQAに適用したところ、それぞれ17mV、40mVほどPsbA3において高電位側にあることを見出し、Ph・QA間およびPh・P680間の自由エネルギー変化が大きくなっていることを明らかにした(論文投稿中)。 2紅色光合成細菌の反応中心における機能分子の酸化還元電位相関と電子伝達特性 酸素発生型光化学系IIの祖先とされる紅色光合成細菌のうち、Rhodobacter sphaeroidesとRhodopseudomonas palustris、Blastochloris viridisの3種を研究対象とし、分光電気化学計測により電子供与体・受容体の電位相関を明らかにすることを目指した。電子供与体の電位は、それぞれ+495mV、+511mV、+513mVと必ずしも同じではないことを明らかにし、その差異を明確にした(論文取り纏め中)。しかし、電子受容体は、光化学系IIのPhが酸化還元反応を示すような電位領域では反応が観測されず、電位相関は明らかにできなかったが、さらに負の電位領域にあることが示唆された。
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Research Products
(6 results)