2009 Fiscal Year Annual Research Report
高強度中赤外光源の開発と励起状態プロトン/水素移動反応機構の研究
Project/Area Number |
21750013
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 充彦 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (00378598)
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Keywords | 中赤外波長可変レーザー / ZnGeP_2 / 励起状態プロトン移動反応 / 超音速ジェット / レーザー分光 |
Research Abstract |
本研究は、新たなレーザー光源を開発することで、これまでは困難であった超音速ジェット中の分子に対する5~12μm領域の中赤外領域の赤外分光を可能にし、気相孤立状態での化学反応を骨格振動領域の赤外分光により詳細に研究することを目的としている。平成21年度は、ZnGeP_2結晶中での差周波発生を利用した、二重共鳴分光法に適用可能な局出力、高分解能、かつ波長掃引幅の広い中赤外レーザー光源の開発を中心に研究を行なった。 まず低波数領域の出力増大を図るため、低波数領域の発生に適した新たなZnGeP_2結晶を導入することで、1000~2000cm^<-1>の全領域で05mJ/pulse以上の実効出力値を達成した。さらに、2μm光発振キャビティ内ヘエタロンを組み込み発振波長幅を狭線化するとともに、励起YAGレーザーヘインジェクションシーダーを導入することで、上記出力値を減少させることなくエネルギー分解能を0.4cm^<-1>まで向上させることに成功した。 次に開発した中赤外光源の分光測定への適用性を調べるために、超音速ジェット冷却した単純なペプチド分子、アセトアニリドやZ基保護化-アミノ酸分子、に対する赤外分光を行ない、その構造解析を行った。開発した光源を用いることで、OH、NH伸縮振動に加え、新たに1000~2000cm^<-1>領域のアミドバンドなどの骨格振動領域についてもジェット冷却分子の詳細な赤外スペクトルの測定が確実に行なえることが確認された。さらに、量子化学計算を利用したスペクトル解析から、精密な分子配座(コンボメーション)の決定が可能であることも実証できた。これにより、これまで精力的に行なわれてきた3000cm^<-1>以上の領域の赤外スペクトルを基にした水素結合構造の精密決定を、骨格振動領域における分子構造決定にも展開できることを初めて示した。
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