2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子相関と環境効果を取り込む高精度励起状態分子動力学法の開発
Project/Area Number |
21750016
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神谷 宗明 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (20509260)
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Keywords | 電子相関法 / 励起状態 / 時間依存密度汎関数法 / 応答量 |
Research Abstract |
本年度は電子相関と環境効果を取り込む高精度励起状態分子動力学法の開発に向け、近年、少ない計算コストで電子相関を考慮できるため、励起状態を計算するのに最もよく用いられている時間依存密度汎関数法について研究を行った。 時間依存密度汎関数法において、励起状態分子動力学法で重要な役割を果たす非断熱カップリング等の高次の応答量の計算では、数多くの項を含み非常に煩雑となるため、今日までそれほど多くは実装されていない。そこでこのような物性量の理論的な研究の妨げとなっているプログラムの第一歩として、高次応答量において最も煩雑な項が生成する密度汎関数法の交換相関汎関数の高次微分項の自動導出、実装プログラムの開発を行った。この結果を分子科学討論会2010でポスターにて発表した。 また実際の励起状態の問題として、DNAの2重らせんに沿う隣あった核酸塩基間、スタッキング構造における励起状態の性質として興味を持たれている核酸塩基2量体に対する様々な励起状態計算法の適用性を調べた。ここではウラシル2量体の励起状態に対して、時間依存密度汎関数法、一電子励起配置間相互作用(CIS)法、一電子励起配置間相互作用に摂動によって動的相関を加えたCIS(D)法、運動方程式結合クラスター法法により計算を行い、励起エネルギーの分子間距離による変化について詳細な解析を行い、時間依存密度汎関数法で励起状態のポテンシャルを記述する問題点を明らかにし論文として発表を行った。
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