2009 Fiscal Year Annual Research Report
電場増強を用いた有機デバイス界面分子の振動スペクトル測定と電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
21750020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中井 郁代 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (30446257)
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Keywords | レーザー顕微鏡 / 和周波発生振動分光 / 有機デバイス / 界面構造 / 有機電界効果トランジスタ |
Research Abstract |
有機電界効果トランジスタ(OFET)は、新しいデバイスとして期待されているが、特性のばらつきや経時劣化など、克服すべき課題も多い。これらを克服するためには、半導体/誘電体界面の分子構造に関する理解とそれに立脚した電荷輸送機構の解明が重要である。電気伝導に無関係な分子の層の下に埋もれた界面からの微弱な信号を選択的に得ることは困難であり、界面の分子構造の情報を得られる分光測定の例はこれまで殆どなかった。和周波発生(SFG)振動分光法は埋もれた界面の分子振動スペクトルを選択的に得ることのできる手法であるが、一般的なSFG測定法では感度の点において不十分である。そこで本研究では、表面プラズモンポラリトン(SPP)を用いた赤外光の増強現象をSFGと組み合わせることで、界面で電荷を担う分子の振動スペクトルの高感度測定と、それに基づく電気伝導機構の解明を目指した。実際にSPPを用いて赤外光を増強する素子について、電界シミュレーションを用いた設計や予備実験を行ったところ、電場増強を起こす波長域が非常に狭くなってしまい、広い波長域で増強したスペクトルを得ることは現実的でないことが明らかになった。そこで、SPPによる電場増強に代わる手段として、界面に生成した電気二重層による局所電場を用いたスペクトル増強を利用する測定法を試みることにした。界面にイオンが密にしかも薄く配列し、非常に強い電場を形成するイオン液体を誘電体層として用いたデバイスのSFG測定を試みた。ミクロンオーダーの厚みの有機半導体結晶を用いる必要があり、結晶からの蛍光によるSFG信号の妨害などの問題があり、従来用いてきたSFG顕微鏡装置では測定が不可能であった。そこで、検出光学系の信号取り込み回路の大幅な改良により、蛍光を排除し、SFG信号を感度良く取得できるシステムを今年度で完成させた。
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Research Products
(2 results)