2010 Fiscal Year Annual Research Report
電場増強を用いた有機デバイス界面分子の振動スペクトル測定と電気伝導機構の解明
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21750020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中井 郁代 京都大学, 理学研究科, 助教 (30446257)
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Keywords | 有機電界効果トランジスタ / 有機デバイス / 和周波発生振動分光 / 反射吸収分光 / 電場変調分光 / 界面構造 |
Research Abstract |
有機電界効果トランジスタ(FET)は次世代のデバイスとして注目を集めているが、その動作機構に関する基礎的な理解は遅れている。界面に存在する有機分子の幾何構造、電子構造、および電位をかけて素子を動作させた時のそれらの変化を把握し、分子構造に立脚した電荷輸送の機構を解明することが重要である。和周波発生(SFG)振動分光法は埋もれた界面の分子振動スペクトルを選択的に得ることのできる手法で、この点を研究するには適したものである。本研究では、当初は表面プラズモンポラリトンを用いた赤外光の増強現象を用い、SFGと組み合わせることで、界面で電荷を担う分子の振動スペクトルの高感度測定を行うこと目標としていた。試料としては、一般的な蒸着薄膜を用いたデバイスに比べて構造欠陥が少なく高い特性を示す単結晶型デバイスを使用した。しかしながら、SFG法では、単結晶内での光の吸収や妨害信号の発生の問題が大きく、界面種の信号を検出することは困難であった。そこで、SFG法よりは界面選択性において劣るものの、これらの問題の少ない可視反射吸収法を用いる実験に切り替えた。電圧印加により界面に生じたキャリアの信号のみを得るため、電圧をパルス状に印加し、それに追随する反射率変化のみを抜き出す電場変調法を適用した。 ルブレン単結晶を用いたデバイスに対し、波長450nmから850nmの可視光を照射し、電場変調スペクトルを測定した。界面での多重反射による干渉の効果がスペクトルに重なり、直接的には界面種のスペクトルが得られなかったが、これを除く解析プログラムを開発した。その結果、10-^3オーダーの吸収変化率をもつキャリア由来のスペクトルが得られた。これは、過去に報告されている光照射により生じるキャリアのスペクトルは異なったものとなった。
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Research Products
(2 results)