2009 Fiscal Year Annual Research Report
自発的界面張力変動が生じる物質の特定および本現象の解明
Project/Area Number |
21750024
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松下 祥子 Nihon University, 文理学部, 准教授 (50342853)
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Keywords | 自己組織化 / 自己集積 / 非平衡 / 非線形 / ミセル / ゲル / コロイド / 石鹸 |
Research Abstract |
申請者は近年、油水界面の自発的な張力変動を利用して誘導電流を発生させ、2007年9月14日のフジサンケイビジネスアイ一面を「せっけん水で脱温暖化」と飾るなど注目を集めた。しかしながら、本現象の実用化は材料学的視点からも程遠い。そこで本年度は(1)温度による張力変動現象変化の観察、(2)構成物質(具体的にはニトロベンゼンならびにクロロベンゼン)による変動速度の違いに対する考察をおこなった。 結果として、温度を上昇させたことで、今までの室温での測定に比べて自発運動が生じる確率は大きく向上し、安定した自発運動が確認出来た。55℃以上の測定に関して再現率は100%であった。また全体な傾向として温度上昇に伴って角速度が増大しているという結果を得た。さらに、クロロベンゼン混入による変動現象の活性化を発見し、本現象の解明のために溶解度測定ならびに動的界面張力測定を行った。溶解度測定実験の結果よりSTA+はクロロベンゼンには良く溶け、ニトロベンゼンには溶けにくいことが確認された。そのため、ニトロベンゼン高濃度下ではSTA-Iが水相側にゲルとなって生じたと考えられる。一方、クロロベンゼン高濃度下では、STA+の油相への移動速度が速いために界面でのSTA-Iの生成がされず、可視サイズのゲルは生じなかったのではないかと推察する。 なお、これらの成果は国際学会ポスター発表2件、国内学会口頭発表1件、ポスター発表1件にて報告した。
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