2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状14族有機金属化合物の新規合成法の開発と発光材料への応用
Project/Area Number |
21750036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野井 慶徳 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20342636)
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Keywords | ケイ素 / ゲルマニウム |
Research Abstract |
本年度は当初に計画した2級シランと2,2'-ジヨードアレーンによるパラジウム触媒を用いた分子内環化反応を行い、対応するジベンゾシロール類を収率良く(40~89%)合成することに成功した。その際、側鎖にエステル基の様な反応性の高い官能基が結合していても、保護を施すことなく対応するジベンゾシロールを合成できることを見い出した。これらの物性を調査したところすべて紫色~青色領域(380~450nm)に強い蛍光を示した。特に側鎖にエステル基を有する化合物は強いπ-スタックにより、固体(結晶)状態の蛍光が溶液(ジクロロメタン)中の蛍光と比較して蛍光波長が40nm程度長波長側にシフトし、量子収率の大幅な向上が観測された。固体状態のスタッキングの様子は単結晶X線構造解析により詳細に調査をした。その結果、カルボニル基間(C=O…C=O)と酸性度の高い芳香環水素とカルボニル基の酸素間(Ar-H…O=C)の水素結合が密なパッキング状態を維持する上で重要な役割を果たしていることがわかった。また、合成したジベンゾシロールは、緑色領域(450~550nm)で強いりん光を発することを見い出し、その寿命は長いもので3秒以上あった。単純な4級シラン、例えばテトラフェニルシランでは殆どりん光を示さないのに対し、シロール類では強いりん光を示すことも比較実験により明らかとなった。環構造がりん光に高い寄与を示しており、軌道計算によりその原因を調査している。加えて、シラカリックスアレーンの合成も行っており、ESI-MSでその存在を確認しており現在単離を試みている。
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Research Products
(1 results)