2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的手法を用いた有機ケイ素化合物の活性化と合成
Project/Area Number |
21750039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野上 敏材 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60402963)
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Keywords | 有機元素化学 / 有機電気化学 |
Research Abstract |
(1) デンドリマー状炭素カチオンの安定性の解明 有機ケイ素化合物の低温条件での電解活性化により生じたデンドリマー状炭素カチオンの熱的安定性は、カチオンと求核剤との反応において反応温度の検討を行う際に極めて重要な情報である。温度可変NMRにより第一世代・第二世代のデンドリマー状炭素カチオンについて熱的安定性を調べたところ、いずれのカチオンも0℃付近まで安定に存在していた。しかしながら、残存率に違いがみられたため、0℃条件下でのカチオンの減衰曲線を作成したところ、第一世代のカチオンが約10時間消失するのに対して、第二世代のカチオンは約3時間で消失することが分かった。第二世代のカチオンではカチオンの分子内での転位が進行し易いために、第一世代に比べて消失速度が早いことを示唆する知見も得られている。 (2) デンドリマー状置換基を有するハロシランの合成 ケイ素上に複数のジフェニルメチル基を有するヒドロシランに対して、ジアリールカルベニウムイオンを作用させることで、デンドリマー状置換基(第一世代と同じ分子量)を有するヒドロシランが合成できることを見出した。ケイ素周りの立体障害はケイ素上のジフェニルメチル基の数によって、大きく異なり、ジフェニルメチル基が二個の場合にはカチオンによるヒドリドの引き抜きが起こり、ワンポットでフルオロシランが得られる。一方、ヒドロシランとして得られる場合には臭素と反応させることで対応するブロモシランへと変換可能であった。
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