2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジアゾカルボニル化合物の反応特性を利用した効率的分子変換法の開発
Project/Area Number |
21750041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 卓也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (20437198)
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Keywords | ジアゾ化合物 / 酸触媒 / アジリジン / 不斉補助基 / 不斉合成 |
Research Abstract |
α-置換ジアゾカルボニル化合物を酸触媒反応に適用した例は、代表者らの研究数例を除いて皆無といえる現状にある。同方法論は、例えば近年の有機化学の主要課題である四級炭素の立体選択的合成に対する革新的な解法を与えていることなどで極めて潜在的実用性が高く、また必要とされる基質・触媒の入手容易さ、副生成物が窒素のみである点など汎用される有機反応になるために必要な条件をすべて兼ね備えている。平成21年度の研究計画としてはそのようなα-置換ジアゾカルボニル化合物を利用した有機合成の可能性の全容を迅速に把握することを掲げた。その結果、酸触媒によって活性化されたアルデヒドに対する不斉補助基としてカンファースルタムを導入したα-置換ジアゾカルボニル化合物の付加反応が、優れた立体選択性および基質一般性でα-置換-β-ケトカルボニル化合物を収率良く生じるということを見出した。また同様のジアゾカルボニル化合物をイミンと酸触媒存在下反応させることにより3置換アジリジンの立体選択的構築にも成功した。 これら反応生成物は生理活性化合物に遍在するポリケチド構造やアミノアルコールを短工程で効率的に合成する手段として有用性が高いと考えられる。また研究過程においてα-置換ジアゾカルボニル化合物を利用した反応系の制御においてカルボニル炭素上の置換基が非常に重要な役割を果たすという新たな知見を見出すことにも成功し、今後のさらなる反応系開発への基盤を構築した。
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Research Products
(5 results)