2009 Fiscal Year Annual Research Report
テトラチエニルメタンを基盤とする三次元拡張巨大オリゴチオフェン類の創成
Project/Area Number |
21750045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 幸三 Osaka University, 理学研究科, 助教 (40311766)
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Keywords | オリゴチオフェン / デンドリマー / 機能性有機分子 / 構造有機化学 / 合成有機化学 / 拡張π電子系化合物 / 材料科学 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
テトラキス(2-チエニル)メタン(1)を基盤とする正四面体型拡張巨大オリゴチオフェン類の合成という目的のもと、1のテトラキス(トリブチルスタニル)体と相当するヘキシルオリゴチエニルブロミドとの四重Stilleカップリングにより末端にヘキシル基を有する一連のテトラキス(オリゴチエニル)メタン類を合成した。末端のヘキシル基により溶解度が向上し反応の効率が高くなったために、今回初めてテトラキス(クォーターチエニル)メタン誘導体を得る事ができた。また、ターチエニル体はX線結晶構造解析を行い、隣接するチオフェン環はsyn配座をとる傾向にあるがanti配座もとりうる事、どちらの配座をとっていても共平面性が高い事が明らかとなった。また、テトラキス(ビチエニル)メタン誘導体は相当する直鎖状の誘導体と比較してより大きなストークスシフトと蛍光強度の増大が認められた。この事は末端の置換基にはほとんど影響を受けず、四つのビチエニル部位が分子内相互作用していると考えられる。 また、分子内に1の骨格を複数有するデンドリマー分子としてテトラキス(5-(トリス(2-チエニル)メチル)-2-チエニル)メタン(2)の合成に成功した。1をn-BuLiでテトラリチオ化し、ビス(2-チエニル)ケトンを作用させてテトラヒドロキシ体とし、これを水素化アルミニウムリチウム-塩化アルミニウムで還元してテトラキス(5-ビス(2-チエニル)メチル-2-チエニル)メタン(3)を得た。3をテトラリチオ化し5-フルオロ-2-シアノチオフェンを反応させてテトラシアノ体とした後、シアノ基を加水分解-脱炭酸する事によって2を得た。2,3のX線結晶構造解析の結果、これらの分子はともに全体としては正四面体からかなり外れたコンホメーションをとっている事がわかった。興味深い事に中心炭素の四本の結合のうちの一本が0.05Åほど短い事がわかった。
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Research Products
(15 results)