2009 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素キラルビルディングブロックの効率的合成法の開発
Project/Area Number |
21750048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 竜也 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 助教 (50380564)
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Keywords | 不斉アジリジン化 / 環境適応型反応 / アジド化合物 / ルテニウム / 不斉反応 / サレン錯体 |
Research Abstract |
光学活性なα-カルボニルアジリジン類はキラルな含窒素有機化合物合成において極めて優れた合成中間体の一つとして知られている。これらアジリジン類の最も直截的な合成法は対応するα,β-不飽和オレフィンの不斉アジリジン化である。しかしながら、その方法は限られ、また、窒素上の保護基、立体選択性(エナンチオ選択性)および基質適応範囲にも問題が残されていた。そこで該当年度において、特に基質の自己重合等の問題があり直截的アジリジン化の困難な末端α,β-不飽和オレフィンの反応検討を行い以下のような結果を得た。 末端α,β-不飽和オレフィン類に対してルテニウム(カルボニル)サレン錯体を触媒として2-トリメチルシリルエタンスルホニルアジド化合物(SESN_3)をナイトレン前駆体に用いて反応の検討を行ったところ、広範囲の基質に対して定量的に、また、ほぼ完全なエナンチオ選択性で対応するアジリジンを与えることが明らかとなった。さらに、同反応はナイトレン前駆体としてアジド化合物とすることで、反応による副生物を無害な窒素ガスのみと極めて環境適応性の高い反応となっている。 また、得られたアジリジン類は温和な条件で、胸像異性体過剰率を損なうことなくSES基の脱保護にも成功している。さらに同反応を利用し、ドーパニミン拮抗薬RD-128907の不斉短段階合成法の開発を達成した。これらの成果については現在、学術論文誌へのおいて報告を行う準備を進めている。
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