2010 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素キラルビルディングブロックの効率的合成法の開発
Project/Area Number |
21750048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 竜也 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50380564)
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Keywords | 不斉合成 / ルテニウム / アジリジン化 / ナイトレン移動反応 / (+)-PD 128907 / 空気酸化 / 直接C-Hアミノ化 |
Research Abstract |
当該年度において、前年度に行ったビニルケトン類の不斉アジリジン化の高効率化を実施し、不斉収率を損なうことなく、触媒とするキラルなルテニウム(カルボニル)サレン錯体の添加量を0.5mol%まで低減することを達成し、標的とする光学的にほぼ純粋なアジリジノケトン類を項収率にて得ることに成功した(11例)。また、得られたアジリジノケトンを鍵中間体として、ドーパミンサブタイプD3受容体の選択的アゴニストとして有効で、今後医薬品への展開が期待されている(+)-PD128907の全8工程になる短工程不斉形式全合成法の開発に成功した。 同反応の反応活性種ルテニウム-ナイトレノイド種の性質に注目し、炭素-水素結合の直接アミノ化をインダンをモデル基質として検討し、標的にとする1-アミノインダンを95%の不斉収率にて得ることを見出した。同知見は、単工程光学活性なアミノ基導入部として極めて重要である。 また、これら検討と並行して検討を進めていた、新規ルテニウム触媒の開発において新規塩化ルテニウムサレン錯体の合成に成功した。同錯体を用いた各種不斉合成反応の検討を進めたところ、二級ラセミアルコールの酸化的速度論分割において酸素を酸化剤として最高K_<rel>=54良好な選択性を得ることを見出した。 これらの成果は、有機合成における窒素官能基導入法、およびアルコールの酸化において高エナンチオ選択的に標的化合物を得られるだけでなく、既存の分子変化法に比べ反応による廃棄物が無害な窒素や水と極めて環境適応性が高く、次世代型合成法として有用であると考えられる。
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