2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルコキシアミド法を用いた実用的アルカロイド合成戦略の開発と天然物全合成への展開
Project/Area Number |
21750049
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 隆章 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70509926)
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Keywords | アミド / アルコキシアミド / Weinrebアミド / 求核付加反応 / タンデム反応 / ゲフィロトキシン / マダンガミン |
Research Abstract |
アミド基は、我々の日常生活に不可欠である医薬品・化学繊維など様々な分野において、重要な役割を果たす官能基の1つである。このため、効率的なアミド化反応の開発は重要な課題であり、精力的な研究の結果、アミド化反応は現在最も信頼できる反応の1つとして確立されている。一方、生成したアミド基は、ケトンやエステルなどの官能基に比べ、非常に高い安定性を有するため、他の官能基への変換が困難である。変換反応の種類は限られ、その反応条件も過激である。容易に合成できるアミド基を、自由自在に望みの官能基へと変換できるようになれば、重要な生物活性を有するアルカロイドの合成において、これまでにない実用的な新規合成法となりえる。このような背景のもと、N-アルコキシアミド基に対し、異なる2つの有機金属試薬を一度に付加する反応の開発と、本方法論を用いた生物活性アルカロイドの全合成を目的とした。 本年度は、最適条件を確立したN-アルコキシアミド法を鍵反応としたゲフィロトキシンの全合成に取り組んだ。N-アルコキシアミド基の特徴であるA)窒素上の高い求核性、B)カルボニル基の高い求電子性、C)キレーション効果という3つの性質を巧みに利用した合成経路を設計した。すなわち、性質Aを利用したN-アルコキシアミド基とアルデヒドの縮合を経由した環化反応により6員環を構築した後、性質B・Cを利用したN-アルコキシアミド法を用いて側鎖を導入した。これにより、わずか2段階でゲフィロトキシンに存在する複雑に官能基化されたピペリジン環の構築に成功した。
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