2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能化を指向したSPMを用いたロタキサン類化合物合成法の開発
Project/Area Number |
21750050
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山崎 龍 Tokyo University of Science, 理学部・化学科, 助教 (90453844)
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Keywords | 超分子化学 / ナノ材料 / 分子機械 / 有機金属 |
Research Abstract |
ダンベル状分子が環内に貫通した形のロタキサンや、分子が知恵の輪のように絡み合った構造をしたカテナンなどのインターロック化合物群はその特殊な構造より機能性分子、とりわけスイッチング機能をもつ分子としての応用研究がすすめられていて、実用化される日もそう遠くはないといわれています。一方でこれまではこれらの分子には環として軟らかい構造をしたものが使われた研究例が多く、より多彩な機能をもつ分子をデザインしていくためには構造を規定化された、すなわち堅い構造をもつ環を用いることが一つのアプローチであると私は考えています。そこで本研究では、近年開発された大環状金属錯体をもちいた遷移金属触媒カップリング反応によるインターロック化合物合成法を活用することで、主に芳香環とアルキンより構成されて剛直な環構造を有するSPM(Shape Persistent Macrocycles)を環としたロタキサンを合成することをまずは目指します。 平成21年度は、まず2つの金属配位部位をもち、かっ対称な構造をもっSPMの合成法を確立して必要量の合成を達成しました。次に、これを用いてこれまでに大環状フェナントロリン-銅錯体によるロタキサン合成で報告されているアルキンのホモカップリング反応を試みました。SPMとモデルとする基質を用いたカップリング反応は進行し、SPM由来の化合物を回収しましたが、構造を決定するには至りませんでした。このことは反応部位(金属配位部位)を環内部に複数有すること、また環分子の安定性が原因と考えて、金属配位部位を環内部に一つだけもち、さらに安定性を高めた第二世代のSPMの合成をおこないました。この第二世代のSPM合成の開発により、以降の研究計画が順調に進捗するものと考えています。
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