2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能化を指向したSPMを用いたロタキサン類化合物合成法の開発
Project/Area Number |
21750050
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山崎 龍 東京理科大学, 理学部・第一部化学科, 助教 (90453844)
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Keywords | 超分子化学 / ナノ材料 / 分子機械 / 有機金属 |
Research Abstract |
ダンベル状分子が環内に貫通した形のロタキサンや、分子が知恵の輪のように絡み合った構造をしたカテナンなどのインターロック化合物群はその特殊な構造より機能性分子としての応用が期待されています。一方でこれまではこれらの分子には軟らかい構造をした環が使われた研究例が多く、より多彩な機能をもつ分子をデザインしていくためには構造を規定化された、すなわち堅い構造をもつ環を用いることが一つのアプローチであると私は考えました。そこで本研究では、近年開発された大環状金属錯体をもちいた遷移金属触媒カップリング反応によるインターロック化合物合成法を活用することで、主に芳香環とアルキンより構成されて剛直な環構造を有するSPM (Shape Persistent Macrocycles)を環としたロタキサンを合成することをまずは目指しました。 平成22年度は、金属配位部位を1つだけもつSPMの合成法を確立しました。手法としては銅をもちいないSonogashiraカップリングタイプの反応により合成を試みました。高希釈下、基質をシリンジポンプで滴下するなどの条件下、半円コンパートメント同士をカップリングすることで、非対称な半円部位を有するSPMをまずますの収率で得ることができました。つづいて、このSPMをもちいて、アルキンの酸化的二量化反応や、アルキンとアジドのクリック反応が進行するか確かめたところ、カップリング体が得られることがわかりました。そこで末端に環から抜け出すのをふせぐためかさだかいトリスビフェニルの誘導体をもつ基質を軸前駆体として利用して反応を行ったところ、アルキンの酸化的二量化では反応軸のカップリング体が得られるのみでしたが、クリック反応の場合にはロタキサンらしい生成物を得ることができ、現在構造を解析中です。
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