2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子情報素子をめざした多段階状態変化型多核錯体の構築と分子配列制御
Project/Area Number |
21750055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 拓也 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (00375411)
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Keywords | 分子情報素子 / 単分子磁石 / 磁性 / シアノ架橋 / かご状錯体 / 酸化還元特性 / グリッド状錯体 / リング状錯体 |
Research Abstract |
分子エレクトロニクスの分野において、磁気的・光学的・電気的な多段階状態変化を示す金属多核錯体は分子性情報素子として有望であると考えられ、設計性の高さを活かすことで本格的な分子回路システムの作成が可能だと考えられる。本研究では、分子情報素子として機能しうる多段階の物理量変化を示す多核錯体の合理的構築と詳細な物性研究を行った。これまでに、堅固なポリピリジン系多座配位子をもちいて、[3×3]のグリッド状金属イオン配列を有するコバルト9核錯体を合成し、単分子磁石挙動に関して検討した。この化合物は世界で初めてのグリッド状骨格を持つ単分子磁石である。合成条件の検討によって、一連のリング状錯体・らせん状錯体の合成にも成功し、これらの化合物群の磁気的性質および酸化還元能についての知見を得、金属イオンが規則配列した多核クラスターによる多段階の状態変化が分子情報素子として応用できる可能性を見出した。また、キラルな2座配位子をもちいて強磁性的相互作用をしめすシアノ架橋Ni_6Fe_4錯体がこれまでに得られていたが、類似の合成手法をもちいることで、溶媒に依存した電荷移動誘起スピン転移現象(Charge Transfer Induced Spin Transition=CTIST)を示すCo_6Fe_4錯体の合成に成功した。この化合物のX線結晶構造解析や温度可変赤外吸収スペクトルおよびメスバウアースペクトル等から金属イオンの価数に関して調べ、CTISTによる価数変化の過程を詳細に検討を行った。温度によってスピン状態と化合物の色調の変化が観測され、分子素子としての応用が期待される。
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Research Products
(12 results)