2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子情報素子をめざした多段階状態変化型多核錯体の構築と分子配列制御
Project/Area Number |
21750055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 拓也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (00375411)
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Keywords | 分子情報素子 / 単分子磁石 / 磁性 / シアノ錯体 / かご状錯体 / 核酸塩基 / 単一次元鎖磁石 / 水素結合 |
Research Abstract |
究極的に小さな分子を情報素子の単位として利用可能であれば、情報処理技術の飛躍的向上が期待できる。情報素子として有用な分子を合理的構築するためには自由自在なイオン・分子配列制御が必要不可欠と考えられる。本研究では従来にない金属イオン配列を有する金属多核錯体の合理的構築を目指して、新規架橋性配位子によって金属イオン配列を制御した様々な多核錯体・低次元性化合物の合成・物性測定を行うことを目的とした。さらに配位子に核酸塩基を導入し、相補的な塩基配列を利用して高次の金属イオン配列を自由自在に制御し、情報素子としての展開を試みる。本研究では、分子配列の制御因子として多点水素結合に着目し、核酸塩基部位としてアデニン部位を導入した架橋性配位子6-amino-9-β-carboxyethylpurine(HL)をもちい、Salen型マンガン2核錯体[Mn_2(naphtmen)_2(H_2O)_2](ClO_4)_2(naphtmen^<2->=N,N'-(1,1,2,2-tetramethylethylene)bis(naphthylidene-iminato)dianion)を連結することで、一次元錯体[Mn_2(naphtmen)_2(L)](ClO_4)・2Et_2O・2MeOH・H_2Oおよび[Mn_2(naphtmen)_2(HL)](ClO_4)_2・MeOHを得た。どちらの錯体も隣接アデニン部位間に水素結合がみられ、磁気的に孤立した一次元ネットワークが形成されていた。磁気測定の結果、両錯体ともスピンキャンティングによって残ったスピンが強磁性的に相互作用することで、単一次元鎖磁石としての性質を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)