2010 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素―遷移金属メタラサイクルを用いる位置選択的元素配列と結合活性化
Project/Area Number |
21750057
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田邊 真 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80376962)
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Keywords | ゲルマニウム / メタラサイクル / 脱水素カップリング反応 / スズ / 白金 / オリゴゲルマン / 環拡大反応 / アルキン |
Research Abstract |
本研究では、ケイ素、ゲルマニウム等の14族元素で構成される環状錯体(メタラサイクル)の合成方法の確立及び環状構造に由来する特異な反応性を調査した。21年度では、四原子ゲルマニウムで構成される環状白金・パラジウム錯体の合成方法を確立した。二級ゲルマンのGe-H結合の脱水素反応、Ge-Ge結合形成を通じて、環状オリゴゲルマン錯体を高収率で得た。 22年度では、ゲルマニウム上にジアルキル基を有するメタラサイクルの合成、スズを環成分に含む環状オリゴスタナン錯体の合成を新規に取り組んだ。立体障害が小さい置換基の導入はアルキンとの反応に対して顕著な相違が見出された。5員環オリゴゲルマン錯体とアルキンとの反応は、Pt-Ge結合へC≡C結合の挿入反応を通じて環拡大生成物を与えた。これは従来から提案されていた触媒サイクルを直接的に実証したものであり、反応機構に関する研究として重要な意義がある。二級スズ化合物のSn-H結合は反応性に富み、Pd(0)錯体との反応から一挙に類似構造の5員環オリゴスタナンを与えた。得られたスタナサイクルは熱安定性が低く、環構造により自由度が減少したSn-Sn結合は容易に開裂しやすいと理解される。ニッケル触媒による一級ヒドロシランの脱水素カップリング反応は、10量体程度の環状オリゴシランを与えた。各種の分析測定結果、末端構造が存在しないことを明確にした。上記のメタラサイクル構造は環状ケイ素化合物の合成反応における中間体の一つとして提案された。 このようにして、本研究ではこれまで研究例の少ない14族元素-環状錯体の合成法を確立し、そのメタラサイクル構造が14族元素を含むオリゴマー合成に関連性を示すことができた。
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Research Products
(11 results)