2009 Fiscal Year Annual Research Report
インターロック構造をもつ柔軟な多核遷移金属錯体の合成と応用
Project/Area Number |
21750058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須崎 裕司 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (70436707)
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Keywords | 超分子化学 / ロタキサン / クラウンエーテル |
Research Abstract |
パラジウム錯体部分を含むクラウンエーテルの合成を行った。具体的には{1,2-ビス(ピリジルエチニル)ベンゼン}部分を含む[24]クラウン-8-エーテルを合成し、これにジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム(II)錯体を反応させて含パラジウム錯体クラウンエーテルを合成した。合成した大環状化合物は各種分光学的手法および質量分析、元素分析によって構造を決定し、さらに単結晶X線構造解析の結果から、クラウンエーテルの1,2-ビス(ピリジルエチニル)ベンゼン部分の二つの窒素原子はパラジウムに対してトランスの位置関係で配位した構造を取っていることを明らかにした。 また、合成したクラウンエーテルを環状分子として用いて、ロタキサンの合成を行った。軸状分子としては末端オレフィン部分を有する二級ジアルキルアンモニウム塩を用いた。合成ではまず、軸状分子と合成した含パラジウムクラウンエーテルとを塩化メチレン溶媒中で混合し、擬ロタキサンを発生させた。この状態で軸分子のオレフィン部分と、嵩高い置換基を有するアクリレートとのクロスメタセシス反応によって軸分子の末端を修飾して、ロタキサンを合成した。さらに類似の反応をアクリレートが存在しない状態で進行させることで、軸分子部分のホモメタセシス反応を進行させ、一つの軸状分子が二つの環状分子の内孔を貫通した構造を有する[3]ロタキサンを合成した。生成するロタキサンは核磁気共鳴法などの分光学的手法や、質量分析等をもちいて構造を決定し、そのスペクトル解析から、環状分子の酸素原子と軸状分子のアンモニウム部分との問には水素結合が働いている事を明らかにした。
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Research Products
(15 results)