2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750059
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中井 英隆 Kanazawa University, 物質化学系, 助教 (70377399)
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Keywords | 有機金属化学 / 金属錯体化学 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウラン金属錯体を集光配位子により光機能化し、その発光挙動および光反応性を制御することである。発光性の5f軌道および低原子価アクチニド金属が有する高い還元力を光制御し、新規な発光分子および不活性小分子の新規な活性化反応を開発することが狙いである。平成21年度は、研究計画に沿って、集光配位子の評価およびウラン(III)錯体の合成条件の検討を中心に研究を進めた。その結果、集光配位子の評価に関しては、ウランの模擬物質となるランタニド(4f軌道を有する)を用いて以下の成果を得た。非発光性のランタニドであるガドリニウム(Gd(III))を用いた錯体を合成し、そのリン光スペクトルより、集光配位子の三重項エネルギー準位を算出することができた。得られた知見を利用し、0.67という非常に高い量子収率を示す強発光性のテリビウム(Tb(III))錯体の合成に成功した。一方、ウラン(III)錯体の合成に関しては、目的とするウラン錯体を合成するためには、出発原料としてU(III)Cl_3やU(III)I_3が有用であることがわかった。このように、目的とする光機能性ウラン(III)錯体の創製に向けた、「集光配位子の機能」および「原料錯体」に関する基礎的知見を得ることができた。本年度得られた成果は、18^<th>ISPPCC (Inter International Symposium on the Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds)を含めた学会、討論会で発表した(国際会議1件、国内1件)。また、本研究遂行に伴い派生した研究成果を、2報の学術論文および1件の図書(1章を執筆)としてまとめるとともに、1件の特許出願を行った。
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Research Products
(7 results)