2009 Fiscal Year Annual Research Report
セレノおよびテルロカルボニル錯体の新合成法の開発と性質の解明
Project/Area Number |
21750066
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
武藤 雄一郎 Chuo University, 理工学部, 助教 (50453676)
|
Keywords | セレノカルボニル / テルロカルボニル / カーバイド錯体 / アトムトランスファー / チオカルボニル / ルテニウム / カルボニル |
Research Abstract |
カルボニル錯体のイオウ同族体であるチオカルボニル(CS)錯体が広く明らかにされてきた。一方、さらに高周期のセレノ(CSe)およびテルロカルボニル(CTe)錯体の合成例はあるものの、これらの化学は未開拓である。これは、これまでの合成法では、原料として入手困難なCSe_2を用いる、あるいは中間体合成のために有機水銀反応剤を用いるなど、CSeおよびCTe錯体の一般性の高い合成法がないためであると考えられる。本年度は、末端カルビド錯体と単体SeおよびTeとの反応による、CSeおよびCTe錯体の一般性の高い合成法を開発し、一連のカルコゲノカルボニル錯体の性質を明らかにした。 [RuCl_2 (C) (PCy_3)_2]を出発に用いた場合は、CSe錯体の形成を確認できたものの、生成した錯体の分解も進行し混合物となった。そこで、より解離しにくいH_2IMes配位子を持つ[RuCl_2(C)(H_2IMes)(PCy_3)]とセレンとの反応を検討した。その結果、ベンゼン中室温で数日かくはんすることにより、目的のCSe錯体[RuCl_2(CSe)(H_2IMes)(PCy_3)]が橙色粉末として収率96%で得られた。本錯体は初めての5配位CSe錯体である。同様にTeとの反応を検討したが、反応は進行しなかった。種々の条件を検討した結果、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)存在下の反応でCTe錯体が単離できることがわかった。この方法を用いることにより、一連のカルコゲノカルボニル錯体のX線構造およびスペクトルを系統的に研究することができるようになった。カルコゲノカルボニル配位子の逆供与およびトランス影響は重いカルボニルになるほど強くなることが明らかになり、RoperらのOs錯体と同様の傾向であった。この結果はCOとの反応にも反映され、実験的にも確認できた。
|
Research Products
(5 results)