2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノイド元素を含む層状化合物開発と微視的磁性評価
Project/Area Number |
21750067
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
酒井 宏典 Japan Atomic Energy Agency, 独立行政法人日本原子力研究開発機構・先端基礎研究センター, 研究員 (80370401)
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Keywords | 無機固体化学 / アクチノイド化合物 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
平成21年度は、アクチノイド層状化合物の合成、物性探索に取り組んだ。 1. ThCuPO、 UCuPOの化学輸送法による単結晶育成に成功した。電子プローブ微量分析や単結晶X線構造解析により、化学組成・結晶構造を決定した。電気伝導異方性、磁気異方性にっいて測定を行った。また比熱測定も行った。その結果、UCuPOは、220Kに反強磁性磁気秩序をもつ半金属であることが分かった。また、2.45GPaまでの圧力下電気抵抗率測定も行い、この反強磁性秩序が、圧力印加により安定化することが分かった。磁気秩序は、局在5ノ電子によるものであり、半金属的伝導性は、Cu-P層により担われているものと思われる。これらの結果は、現在、日本物理学会欧文誌に投稿中である。これらの化合物の物性は、多結晶試料では報告されていたが、単結晶を用いて精密に物性の異方性を評価した研究は今までなかった。また、同一化合物内で、5f電子の磁性と3d電子による伝導性の棲み分けが、明瞭に現れている例はまれであり、本系の層状構造が関連していると思われる。 2. UCuPOについて核磁気共鳴実験を行った。反強磁性秩序においてCuサイトでは内部磁場はほぼキャンセルしており、Pサイトでは大きいことがわかった。 3. β型US_2について、化学輸送法による単結晶育成に成功した。この化合物の電気抵抗率、磁化、磁化率、比熱測定を行った。常圧で絶縁体であるが、8GPa相当の圧力印加により、金属化できること、2GPa程度の圧力で磁気異常を誘起できることを明らかにした。これらの物性を5f電子の結晶場レベルを元に論じた。圧力誘起の磁気異常は類似化合物UTeSとの類推から、強磁性転移であることが予想される。
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Research Products
(1 results)