2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノイド元素を含む層状化合物開発と微視的磁性評価
Project/Area Number |
21750067
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
酒井 宏典 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (80370401)
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Keywords | 無機固体化学 / アクチノイド化合物 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
平成22年度は、アクチノイド層状化合物の合成、物性探索に取り組んだ。また、比較研究のため、ランタノイド層状化合物やNi系層状化合物の物性測定を行った。 1.ThCuPO, UCuPOの単結晶試料を用いて、電子プローブ微量分析・単結晶X線構造解析による化学組成、結晶構造解析に加え、電気抵抗率、磁化率、比熱の巨視的物性測定の結果、UCuPOが220Kに反強磁性磁気秩序をもつ半金属であり、この反強磁性秩序は圧力印加により安定化することが分かった。磁気秩序は、局在5f電子によるものであり、半金属的伝導性は、Cu-P層により担われている。これらの結果は、日本物理学会欧文誌に掲載された。 2.アクチノイド層状化合物AnTGa_5とセリウム層状化合物CeTIn_5(An=U,Np,Pu ; T=Co,Rh)とにおいて、核磁気共鳴測定により磁気ゆらぎ異方性と超伝導転移温度Tcとの比較を行った。 3.アクチノイド層状化合物の物性探索に繋がると思われるランタノイド化合物の物性測定に取り組んだ。セリウム層状化合物CePt_2In_7は、常圧で重い電子系反強磁性体であり、圧力誘起超伝導体であることが知られている。単結晶を用いた微視的物性測定である核磁気共鳴を用いて反強磁性状態を調べた結果、非整合反強磁性秩序状態が、整合反強磁性秩序と共存していることが分かった。また、圧力印加により、整合反強磁性秩序が安定化することも分かった。 4.Fe-As系超伝導体関連化合物であるNi系超伝導体BaNi_2As_2とSrNi_2P_2について、比熱・熱伝導測定から、フルギャップ型超伝導体であることを明らかにした。
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