2009 Fiscal Year Annual Research Report
光導波路プロトンセンサーを利用した脂質膜/水相界面での電子移動過程の解析
Project/Area Number |
21750071
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
堀田 弘樹 Gunma University, 大学院・工学研究科, 助教 (80397603)
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Keywords | 脂質膜 / 水溶液界面 / 電子移動 / 脂質二分子膜 / ベシクルフュージョン / 環境応答性色素 / 脂溶性抗酸化剤 / プロトン移動 |
Research Abstract |
本年度は,(1)ベシクルフユージョン法を用いた脂質膜作製法の確立と,本手法により作製した薄膜のキャラクタリゼーション,(2)作製した脂質膜に対する抗酸化剤の分配挙動の観察を行った。 (1)リン脂質であるDMPC(1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)により作製したベシクルを,膜を形成させたいガラス板上に展開させ,そのガラス板上でベシクル同士を融合させることで安定した脂質薄膜を形成させた(ベシクルフユージョン法)。NaOH水溶液の送液をはじめとする洗浄処理の後,形成した膜の評価を行った。脂質膜内に分配することで蛍光を発する環境応答性色素であるNBD(nitrobenzofurazan)誘導体溶液を送液,またはあらかじめベシクル内にその色素を分配させることで,脂質薄膜を蛍光顕微鏡下で可視化し,その状態観察を行った。その結果,ミリメートルオーダーの広範囲において均質な薄膜の形成が確認でき,顕微鏡スケールで薄膜内に存在する色素類の挙動を観察するには十分な状況が整ったと考えられる。また同じ方法により透明電極(ITO)上に脂質膜を作製し,交流インピーダンス測定により静電容量を求めることで脂質膜の厚みに関する情報を得ることを試みたが,今回の測定に用いた3×10mm程度の電極表面では均一な薄膜が形成できず,膜全体に対して平均的な評価しか行えない本手法では,膜厚に関する確実なデータを得ることは非常に困難であることが分かった。今後,表面積を小さくすることでより正確な測定を行っていく予定である。 (2)上述の方法によりガラス板上に形成させた脂質薄膜に対して,脂溶性抗酸化剤(還元剤)であるクルクミンのエタノール溶液を送液したところ,クルクミンが脂質膜内に浸透したことを示す吸収スペクトルが得られた。膜内に存在するクルクミンを膜外に送液したフェリシアンにより酸化することを試みたが,今回の条件ではクルクミンの酸化は観察されなかった。今後,酸化剤の検討を行いクルクミンの酸化に伴うH^+の移動を光導波路H^+センサーにより検出する測定系を構築する。
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Research Products
(3 results)