Research Abstract |
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)をプラットフォームとし,一次元目でタンパク質を分離し,二次元目で,タンパク質に結合している金属イオンの蛍光分離検出をする金属イオンータンパク質マッピング電気泳動法の開発を進めた。この際,要素技術となるPAGEを用いる金属イオンの超高感度蛍光検出システムの確立を目指した。これを達成するために,数種類のPAGE適合型金属蛍光プローブを新規合成した。これらプローブは金属配位部位,スペーサーおよび発光団で構成されており,金属イオンの消光効果(重原子効果,常磁性消光)を抑制することができる。ポリアクリルアミドゲル電気泳動場において金属プローブ錯体を効率的に分離することに成功した。この分離原理は,PAGEに一般的な分子ふるい効果とは異なることが示唆され,PAGEが小分子の分離にも効果的であることが分かった。また,非連続系のゲルを用い,スタッキング剤を選択することでプローブ錯体のオンライン濃縮にも成功している。これにより,最大40倍の濃縮に成功した。検出できる金属イオンの種類は蛍光プローブの配位部位の骨格によって大きく異なり,剛性の高い配位骨格ほど,多くの金属イオンを同時検出できることが分かった。検出できた金属イオンのうち,Fe^<2+>,Cu^<2+>,Ni^<2+>,Co^<2+>,Cd^<2+>,Hg^<2+>の完全相互分離に成功し,その検出感度はレーザー励起蛍光イメージャーを用いて一桁pptレベル(10^<-11>M)にも達した。また,実試料としてヒト血清に適用し,血清中鉄イオンの検出にも成功している。
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