2010 Fiscal Year Annual Research Report
パルス磁場を利用するキラル生体高分子の電磁誘導蛍光検出法の開発
Project/Area Number |
21750076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
諏訪 雅頼 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90403097)
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Keywords | パルス磁場 / 誘導起電力 / らせん構造 / キラル認識 / 蛍光検出 |
Research Abstract |
本年度は,プラスミドDNAのスーパーコイル構造を試料として用い,誘導起電力の蛍光検出を行った.使用したDNAは6,646bpのColE1 DNAで,これを銀ナノ粒子でコーティング後,グルタルアルデヒドリンカーでヒト血清アルブミン(HSA)を結合した.これは,銀による消光を防ぐためのスペーサーとして使用した.さらに電位感受蛍光色素であるフルオレセインイソチオシアネート(FITC)をHSAに結合した.FITCはモノアニオンからジアニオンの形になると蛍光量子収率が非常に大きくなる.そのpK_aは6.7である.このDNA試料をpH6.4の溶液に分散させ,パルス磁場中での蛍光強度の時間変化を観測した.パルス磁場には幅が100μsのものと500μsのもので測定しその結果を比較した.励起には488nmのArイオンレーザを用いた.500μsのパルス磁場での結果,DNAを試料に含まない場合に比べ,僅かではあるが(0.5%程度)パルス磁場に伴った蛍光強度の増加が観測されたか,100μsのパルス磁場ではこの変化は観測されなかった.また,観測された時間変化を詳しく調べると,パルス磁場の印加時間を渦ぎても,蛍光強度の変化が続いていた.これらの結果は,蛍光強度変化に100μs程度の緩和過程があることを示唆している.時間スケールは,DNAの回転緩和時間に近いことから,パルス磁場と誘導磁場による配向が影響を及ぼしていると考えられる.これは,新しい磁場効果であり,現在のところ報告例は見当たらない.また,想定していた現象とは若干異なるが,sub-μm程度のらせん構造体に磁場により誘導される起電力の測定も可能であると示唆された. 更に,イメージングを目指すため,パルス磁場と同期した顕微観測系の構築も行った.ファラデー回転により,磁場と画像取得の同期が行えることを確認した.
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