2010 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面におけるデンドリマーの分子包接挙動と相間電荷移動反応の動的制御
Project/Area Number |
21750078
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永谷 広久 長崎大学, 工学部, 助教 (90346297)
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Keywords | デンドリマー / アニリノナフタレンスルホン酸 / 液液界面 / 分子カプセル / ドラッグデリバリー / 電位変調分光法 / イオン移動 |
Research Abstract |
ポリアミドアミンデンドリマーのアニオン性色素に対する分子包接挙動について、末端官能基の違いによる効果を検討した。末端官能基にはカチオン性のアミノ末端とアニオン性のカルボキシ末端を用い、疎水性蛍光プローブであるニリノナフタレンスルホン酸(ANS)とその二量体および水溶性亜鉛ポルフィリンについて包接機能を評価した。ANSはデンドリマーとの静電相互作用によって包接されると蛍光強度が増大した。分子の包接に充分な空孔を有するアミノ末端のG4およびカルボキシ末端のG3.5は、塩基性から弱酸性までの広いpH条件でANSに対する包接特性を示し、pH依存性は末端官能基に依存して変化した。蛍光強度のpH依存性から、G4ではアミノ末端のプロトン付加に応じてpH8付近で包接が効率的に生じることが確認され、さらに液液界面における分光電気化学測定から、インテリアの3級アミンのプロトン付加が生じるpH4以下でもデンドリマーがANSを包接した状態で二相間のイオン移動反応を生じていることが明らかになった。また、G3.5では分子が正電荷を持つpH3付近で高いアニオン包接特性を示した。これらのことは、デンドリマーがアニオン包接体や相間電荷移動担体として機能することを示している。さらに、水相の亜鉛ポルフィリンと有機相の消光剤の間で生じる不均一光誘起電子移動反応において、デンドリマーの添加による光電流への影響について検討した。アミノ末端のG2およびG4デンドリマーを共存させたところ、G2において光電流値の大幅な増加が確認された。これは、界面吸着したデンドリマーにアニオン性ポルフィリンが取り込まれ、光反応種の界面濃度が増加したためと考えられる。デンドリマーが化学種の機能性を大幅に変化させることなく包接・結合できることが示唆され、濃縮や分離、計測化学への応用が期待できる。
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Research Products
(6 results)