2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体検出場による新規ホウ素定量法と酸化還元ホウ素センシングの検討
Project/Area Number |
21750082
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
岩月 聡史 甲南大学, 理工学部, 講師 (80373033)
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Keywords | 化学センサー / 定量分析 / 金属錯体 / ホウ素 / 比色定量試薬 |
Research Abstract |
前年度合成した2,2'ビピリジン-3,3'-ジオールが配位した白金(II)錯体について、アセトニトリル中におけるホウ酸との比色分析反応を検討した。その結果、白金錯体の光吸収極大波長の吸光度はホウ酸濃度の増加に伴って直線的に減少し、同様の傾向が蛍光強度の測定においても得られた。この結果は、白金錯体とホウ酸との反応に伴う光特性変化によってホウ素の比色定量が可能であり、本課題で提案した金属錯体検出場によるホウ素の比色分析法が有用であることを示している。一方で、金属錯体の水溶性の問題と、反応速度が遅い問題点が浮上した。前者は水溶性置換基の導入により解決可能であるが、後者は比色分析反応の基盤となるホウ酸類の錯形成反応の時間効率に関する根本的な問題である。そのため後者について、単純な反応系である水溶性ボロン酸類の錯形成反応の速度論的解析を詳細かつ包括的に検討した。その結果、それぞれ反応物の酸塩基特性のみならず、電荷が反応速度に複合的に影響しており、無電荷か負電荷を有する配位子のほうが反応に有利であることがわかった。金属錯体は一般的に錯陽イオンが多く、本申請でも錯陽イオンを開発してきたが、分析応答速度の向上のためには、錯陰イオンを考慮した分子設計が必要不可欠であることが明らかになった。 本課題の挑戦的内容である酸化還元センシングについては、上記の精密反応解析に費やした期間により詳細まで検討できなかったが、概してホウ素との反応が遅いために迅速応答を実現するには至らなかった。しかしながら、金属錯体検出場によるホウ素の比色分析反応の基本的な概念を確立できたほか、応答時間に対する分析試薬の電荷の影響は本課題の検討過程で初めて明らかになったものであり、簡易比色金属錯体試薬の開発のための新たな重要知見として一定の成果は得られた。
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Research Products
(7 results)