2010 Fiscal Year Annual Research Report
直接点力測定型ピエゾ抵抗カンチレバーアレイバイオセンサーの開発
Project/Area Number |
21750083
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
吉川 元起 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, ICYS-MANA研究員 (70401172)
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Keywords | バイオセンサー / カンチレバーアレイ / ピエゾ抵抗 / 高感度化 / 有限要素解析 / 膜型表面応力センサー(MSS) |
Research Abstract |
カンチレバーアレイセンサーは、多様な分子を、蛍光などの標識分子を用いることなく、リアルタイムで多チャンネル同時検出できるという特長をもっている。しかしながら、広く利用されているレーザー読み取り方式では、高い感度が得られる反面、装置が大型・複雑で、血液などの不透明溶媒での測定が不可能などの弱点があった。これらの問題を全て克服でき、応用への切り札として期待されているピエゾ抵抗型のカンチレバーセンサーの一番の弱点は、その感度の低さにあった。 この感度の低さを克服するため、1986年ノーベル物理学賞受賞者のHeinrich Rohrer博士と、スイス連邦工科大学のMEMSチームと共同で、カンチレバーの常識を覆す革新的な構造最適化を行い、膜型表面応力センサー(Membrane-type Surface stress Sensor ; MSS)の開発に成功した。このMSSのプロトタイプを実際に作製し、実験を行った結果、従来のカンチレバー型のセンサーに比べ、20倍以上の感度の実証に成功した。これは既にレーザー読み取り方式のセンサーと同程度の感度であり、さらに、膜やブリッジ部分の大きさを少し変えるだけで、さらに数桁以上の超高感度化が可能であることも、有限要素解析により明らかになった。また、液中測定システムを構築し、細菌と抗生物質の相互作用の検出など、MSSのバイオセンサーとしての高い可能性を示す結果も得られた。 MSSはカンチレバーセンサーと同様に、検体分子が吸着する際の立体反発などに起因する表面応力を測定しているため、ガス分子から生体分子までほとんどの種類の分子の測定が、空気中や溶液中など様々な環境で可能である。また、小型・簡便で、不透明溶媒でも測定可能であり、大量生産による低コスト化も期待できるため、医療・バイオ・環境・セキュリティーなど、様々な分野での広範な応用が期待される。
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Research Products
(13 results)