2009 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル・オン型電気化学センシング法による高感度遺伝子センサ
Project/Area Number |
21750085
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
青木 寛 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00392580)
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Keywords | DNA / 遺伝子検出 / バイオセンサ / シグナル・オン / 遺伝子プローブ / ラベル化不要 |
Research Abstract |
本研究で開発したプローブは、一本鎖時に柔軟な構造を有するプローブ両末端に電気化学信号発生団と信号抑制団とを取り付けた分子構造を有しており、ターゲット認識前・後において両団が内包錯体を形成・解離することで、信号が抑制・回復する仕組みを基盤とする。本年度は、信号発生団としてフェロセン、信号抑制団としてβ-シクロデキストリンを有する22塩基DNAをプローブとして合成し、バルク溶液中でのターゲットDNA認識前後によるフェロセン酸化還元信号の変化を電気化学的に観測した。プローブDNAの電気化学測定にはくし形電極を用い、微量溶液をくし形電極上に滴下した後、サイクリックボルタンメトリを測定した。観測されたボルタモグラムは緩衝溶液のみの場合との差分を取り解析した。 プローブDNAを6.25μM含む測定溶液では、0.3V付近から電流値の上昇が見られ0.4V付近で定常電流値に達する電流一電位曲線が得られた。一方で、プローブDNAとターゲットDNAとを混合し(6.25pM+25μM)インキュベーションを行った溶液では、0.25V付近から電流値の上昇が見られた。これは、バルク溶液中での内包錯体を形成していたフェロセンの酸化還元電位が、信号抑制団により酸化還元反応が起こりにくくなり正にシフトしていたところ、この内包錯体が解離したためにシフト前の電位に戻ったためと考えられる。この電位シフトは62mVであった。ここで観測された電流一電位曲線の変化から、決まった電位での電流値の増加に注目することで、ターゲット認識を検出することも可能である。0。3Vでの電流値変化は1.3nA→6.9nAの約5倍であった。 以上、今回開発したプローブDNAによりシグナル・オン型の電気化学的遺伝子センシングが可能となったと言え、その学問的意義は非常に重要である。
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Research Products
(9 results)