2010 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル・オン型電気化学センシング法による高感度遺伝子センサ
Project/Area Number |
21750085
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
青木 寛 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00392580)
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Keywords | DNA / 遺伝子検出 / バイオセンサ / 超分子電気化学 / 遺伝子プローブ / ラベル化不要 |
Research Abstract |
現在網羅的な遺伝子解析の重要性は、研究施設内に留まらず臨床や環境計測の現場でも高まっている。しかし、蛍光標識に基づく従来の遺伝子解析技術では、現場への実用化に課題があり、簡便・迅速・高感度を特徴とする新規遺伝子検出技術が求められていた。そのため本研究では、遺伝子検出後に信号増加(シグナル・オン型)する電気化学デバイスの開発を目指した。本研究で開発した遺伝子プローブは、一本鎖時に柔軟な構造を有するDNA末端に電気化学信号発生団と抑制団とを取り付けた分子構造を有しており、ターゲット認識前・後において両団が内包錯体を形成・解離することで、信号が抑制・回復する仕組みを基盤とする。信号発生団としてフェロセン、抑制団としてβ-シクロデキストリンを有する22塩基DNAをプローブとして合成し、ハイブリッド形成によるフェロセン酸化還元信号の増加(シグナル・オン)が観測できた。 さらにデバイス化を進めるため、耐熱・耐薬品性に優れたセラミックス基板に基づく遺伝子デバイスを開発した。このため、微小金電極アレイを有するセラミックス基板を用い、電極表面上に遺伝子プローブ溶液を塗布して遺伝子センサアレイを作製した。プローブ塗布では、本研究を通じて開発したピッチ可変型アレイスポッタを用いて行った。セラミックス基板は電極表面のセンサ用電極としての最適化に技術的課題があったが、本研究を通じてこれを克服し、複数の異なる微小遺伝子センサを高集積アレイ状に有する遺伝子センサアレイの構築に成功した。また、特定の遺伝子に対する電気化学的応答の観測にも成功した。 このようにして、ターゲットのラベル化およびマーカー添加が不要なシグナル・オン型の遺伝子検出システムを構築し、併せて簡便・迅速な一次スクリーニング技術としての遺伝子検出デバイスの開発を推進した。これらの成果は、学問的のみならず実用的にも意義深いと考えられる。
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Research Products
(15 results)