2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒を用いたアリル系基質の高選択的分子変換反応
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21750086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大宮 寛久 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (40508876)
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Keywords | パラジウム / アリル系基質 / クロスカップリング反応 / 位置選択性 / アリールホウ酸 / 不斉転写 / gem-ジアリールアルカン / (+)-sertraline |
Research Abstract |
研究者は最近Pd触媒によるアリールホウ酸と(E)-酢酸アリル類のγ位選択的立体特異的クロスカップリング反応を見出した。触媒量のPd(OAc)_2、1,10-Phenanthroline(あるいは2,2'-bipyiridine)、AgSbF_6存在下、R体の光学活性酢酸アリルに対してアリールホウ酸を60℃で作用させたところ、基質の構造に依存する事無くγ位および立体選択的に反応が進行した。また本反応は、脱離基と求核剤が1,3-synの関係で立体特異的に進行しS体のカップリング生成物を与えた。本研究では、Pd触媒によるγ位選択的立体特異的アリル-アリールカップリングの詳細な反応機構とそれを用いたgem-ジアリールアルカンの合成について検討した。 Pd(II)錯体とアリールホウ酸とのトランスメタル化で生成する求電子的なカチオン性Pd(II)錯体Ar-Pdが酢酸アリルの不飽和結合へ付加(挿入)し、続いてsyn-[○!R]-アセトキシ脱離する段階的な機構を経て反応が進行する。本研究では、これら中間で発生する種々パラジウム錯体の単離、ならびに得られた錯体を触媒前駆体に用いたカップリング反応について検討した。 本反応はシンナミルアルコール誘導体とアリールホウ酸のカップリング反応にも適用でき、gem-ジアリールアルカン誘導体の効率的な合成法となった。このカップリングを鍵反応として利用することにより、抗鬱薬(+)-sertralineの形式合成を達成した。光学活性シンナミルアルコール誘導体とフェニルホウ酸のカップリング反応は1,3-synの関係で立体特異的に進行し、光学活性gem-ジアリールアルカンを与えた。
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Research Products
(7 results)