2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属間の電子相関を持つヘテロ原子架橋多核金属錯体の合成と触媒反応への応用
Project/Area Number |
21750088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 由寛 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (00347270)
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Keywords | 有機金属化学 / 有機合成化学 |
Research Abstract |
多核金属クラスターは基質の多点活性化、協同的な効果、金属間での電子移動なども期待できることから興味が持たれており、さかんに研究されている。しかし、「単核錯体」ではなしえない「多核錯体」ならではの触媒的な変換反応の例は限られているのが現状であり、その可能性を引き出しているとは言い難い。本研究では、新しい骨格を有するヘテロ原子架橋複核錯体の合成及び新規な触媒的分子変換反応の開発を目標に研究を推進する。今年度は異種ヘテロ原子架橋多核金属錯体の設計・合成を行い、新たに構築された多核反応場での新しい触媒反応性の開発について研究を行った。異種ヘテロ原子架橋二核ルテニウム錯体はそれぞれのヘテロ原子の持つ特性を併せ持つことができ、ヘテロ原子の組み合わせを変えることで金属間距離や電子状態を制御できる。また、架橋ヘテロ原子が基質の活性化に利用することも可能であり、新しい変換反応への利用も期待できる。しかし、その合成は同種ヘテロ原子架橋錯体に比べ。困難である。そこで、塩素架橋二核ルテニウム錯体に対し、段階的に架橋原子を導入する合成経路を設計した。我々のグループが合成した、一置換錯体であるモノホスフィド架橋二核ルテニウム錯体を前駆体として用い、架橋配位子としてチオラート配位子、ヒドロスルフィド配位子の導入を検討したところ期待通り、異種ヘテロ原子架橋錯体が収率良く得られた。合成したチオラート架橋錯体の高い電子供与能をを利用し、エチニルシクロプロパンをC3ユニットとして用いたカルボニル化合物との[3+2]環化付加反応を検討したところ、予想通り反応は進行し、テトラヒドロフラン誘導体がが高収率で得られた。現在反応機構に関しても研究を進めているところである。
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Research Products
(4 results)